審美歯科と歯科材料
以前にも何回か書いていますが、今回も審美歯科がらみのお話です。
口腔内の修復に使われる材料は、大きく「金属系」「樹脂系」「陶材(セラミック)系」の3つに分けられます。左の写真では、上下の6(第一大臼歯)が「金属系」、上顎の5(第二小臼歯)が「陶材(セラミック)系」による修復ですね。
修復材料で一番一般的なものが「金属系」で、お口の中で「つめもの」や「かぶせもの」として銀色や金色に光っているものがそうです。金属の性質上、薄くて適合良く作ることができますが、見た目が不自然で、それを気にされる方が多いのも事実です。
次に多いのが「樹脂系」で、これは取り外し式の入れ歯(人工歯とピンク色の部分)や、保険の白い歯、前歯の間や根っこのムシ歯の修復など、多岐に渡ります。
見た目は歯や歯肉の色に近くて、金属よりも自然な感じになりますが、「樹脂系」の多孔性で吸水するという性質上、どうしても変色やすり減りなどの問題が生じてきます。
そこで、より自然な歯に近づけるために選択されるものが「陶材(セラミック)系」です。ただし「陶材(セラミック)系」単独では技工操作が難しいので、金属冠の表面に陶材を焼き付ける方法が以前より採用されてきました。この冠を「陶材焼付冠(メタルボンド)」といいますが、自費治療になるので高額がネックとされています。
最近は技術や材料に進歩が見られ、またアレルギーや審美に対する要求度アップ↑の風潮で、金属を使わず「陶材(セラミック)系」のみで作られる冠も一般的になってきました。
このことについては「メタルフリーの考え方」や「エンジェルクラウン」という記事でも触れています。
また見た目についても「歯ぐきとの境目(マージン)の色」という記事を書きました。
写真の小さい方の歯が「陶材のみで作った歯」で、大きい方の歯が「陶材焼付冠(メタルボンド)」です。
修復物の内面に金属を使わない方は、その分だけ光の透過性が期待できますので、より明るく自然な感じに仕上がります。金属を使う方は、その適合性のメリットを活かして、奥歯やブリッジなどに主に使います。
さて当院の臨床例です。
上顎の3本の歯のうち、奥2本は10年近く前に装着された「陶材焼付冠(メタルボンド)」です。
神経を抜いていない歯(生活歯)の場合、大きく削ることができないので、金属と陶材の2層構造の場合、どうしても陶材部分が薄くなって、実際の歯よりも暗く見えたり、色が単調になったりすることもあります。
そこで手前の歯の方を、陶材ブロックから削り出す「エンジェルクラウン」にやりかえてみました。
金属を使っていないので光の透過性が良くなり、以前よりも自分の歯らしく仕上がりました。奥の歯と比べ、その自然さがおわかりいただけると思います。
前歯の場合は、陶材ブロックより削り出す「エンジェルクラウン」よりも、技工士さんが手作業で作るオールセラミックス冠の方が、例えば1~2本だけの修復の場合などは、より自然な感じになるかもしれません。
いずれにしても噛み合わせをしっかりチェックしないと、力がかかりすぎる歯や、歯を食いしばる習慣のある方の場合、「陶材(セラミック)系」の歯は、その寿命が短くなりやすい危険性があります。
その辺については歯科医師の先生と十分ご相談なさり、賢明な選択をしてくださいね。
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