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槍ヶ岳をゆく

地球の直径は1万2700kmだという。
その中でたかだか3kmあまりの突起物なんて、
表面の瘡蓋か、ささくれにすぎないのかもしれない。
しかしそのわずかな隆起というか、引っかかりは、
時にはヒトにとって越え難い壁となる。

上高地から横尾までの11キロの道を坦々と3時間、
そして槍沢ロッジまで2時間弱、
ここから次の小屋までは標高差1000m、
約4時間の道のりだ。
うーん、ここは行くしかないじゃないか。。。

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しかしバテた。。。
強烈な日射しが容赦なく身体を貫き、
沢があれば頭から水をかぶった。
1.5L用意した水は予想以上に減った。
薄くなる空気は、足の運びを重くする。
最後の力を振り絞ってヒュッテ大槍に着いたとき、
もう歩かなくていいんだと力が抜けた。

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しかし神様は粋なプレゼントをしてくださる。
槍穂高連峰を夕陽が染めていく。
圏谷に雲が湧き出て、雲海を作っていく。
折しも夕刻、西日が真横から山々を照らす。
光と影のシンフォニーにしばし言葉を失った。

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さらに神様は翌朝もプレゼントをくれた。
雲海に浮かぶ日本の屋根の数々、
遠くには富士山も頭を出している。

槍が赤く染まった。
その穂先に向かって歩くことができる幸せは、
高度障害をぶっ飛ばしてくれた。
最後のハシゴを登り終えた時、
それ以上高い場所はなかった。。。

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日本の屋根をすべて見渡せるほど素晴らしい天候は、
40年近い登山歴でも年に1~2回ほどだったと思う。
2週間前に歩いた黒部源流部の山々が見える。
3週間前に歩いた甲斐駒ヶ岳も見える。
先月歩いた八ヶ岳も見える。
昨年、思いがけず噴煙をかぶってしまった御嶽山も見える。
僕は有頂天で穂高方面に向かった。

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そしてもう一つの楽しみの天狗池の氷河公園。
小さな池塘は槍の穂先を水面に浮かべ、
僕の訪問を待ってくれていた。

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