話題になっている映画「ラストコーション」を上映終了間際に鑑賞してきました。ちなみにラストは「last」ではなく「lust(欲情・色情)」なんだそうで、今回の映画で初めて知りました。
ワタシはハリウッドもの、ファンタジーものが好きではなく、またTVドラマでもいけそうなモノや連続モノ(寅さんとか釣りバカとか)はわざわざ劇場では観ない主義なので、映画館に行くのはおのずと年に2・3回くらいに限られます。もし観にいくとしたらマイナーな映画会社だけれども何かの賞を取って話題になっているものが多いですね。このブログでは「パッチギ」「フラガール」「もがりの森」を取り上げています。
さて今や巨匠ともいえるアン・リー監督のこの作品は、ヴェネツィア金獅子賞や台湾アカデミー賞(金馬賞)を取っていますから、ちょっと注目していました。というよりも男女の激しいからみがあってR-18指定になっているから興味を持った・・・と言えないこともないのですが(笑)。
「昔でいう成人映画やん」ということで、観客はエロそうなオッサンが多いのかな・・・と思っていたら、実際は結構女性やカップルや元文学少年風の人が多かったのでした。まぁオッサンが行くには少々不便なところにある映画館でしたが。
CinemaCafeNetより
1942年、日本占領下の上海。抗日運動に身を投じる美しき女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、敵対する特務機関のリーダー、イー(トニー・レオン)暗殺の命を受ける。やがてその魅力でイーを誘惑することに成功したワンは、彼と危険な逢瀬を重ねることに。死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的なまでに激しく互いを求め合う二人。しかし、運命の時は刻々と迫っていた――。『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督が贈る、スリリングな禁断のラブストーリー。第64回ヴェネチア国際映画祭にて金獅子賞受賞。
感想をひとことで言えば「アン・リー監督に拍手!」でしょうか。近代中国歴史の悲哀に男女の情感が絡み合って、重厚でずしりとくる作品に仕上がっています。ブルジョア、貧民、外国人が雑多に混じった上海の風景は、それだけで素晴らしいセッティングでした。ただ日本人の将校の宴会風景はどこか異質なものを感じましたが・・・。
中国の歴史を振り返れば、多民族を抱えた大国ゆえに一つにまとまる難しさ、そこへ列強や日本の思惑が重なって、様々な問題を孕んできました。北京五輪を前にした現在の経済的な発展は目をみはるものがありますが、それとて多くの犠牲の上に成り立っているのかもしれません。そして一昨日のニュースではチベット暴動を報らせていました。
それはさておき、この映画の中心人物はマイ夫人(ワン・チアチー)を演じた湯唯(タン・ウェイ)でしょう。写真のような純朴な女子学生が時代の波に翻弄されて、傍から見ると稚拙で少し危なっかしい抗日運動へと走ります。そして敵対する政府特務機関のボスの易氏(トニー・レオン)に身体を張って近づいていきます。3度にわたる男女の濃厚なからみは、服従→模索→理解を意味していると後から知りました。そういう意味でももう一度鑑賞したい映画ですね。
ネタばれですが暗殺に失敗した同士の5名も最後は処刑されてしまいます。やはり学生出身の甘さのせいでしょうか、宝石屋に入るときの絶好の機会でためらったのが致命的でしたね。彼女だけが最後まで毅然とした態度をとっていたのが印象的でした。「抗日」という大義名分とはいえ、甘いノリで計画した殺人計画とそのフォローの無責任さ。そんな彼らよりも真剣に愛してくれたターゲットの男。その想いに応えるのも愛のなせるわざなのでしょう。
不謹慎ですが、殺し屋稼業というものは本年度のアカデミー賞を取った「No Country」中の彼のように冷酷になり切らなくてはいけないのかもしれません。
ソバカスのある純朴な女子学生から妖艶な女に変化していくところも映画の見どころのひとつです。それは激しいからみのシーン以外にもいろいろな表現方法がとられています。
例えばコーヒーカップについた口紅、絹の靴下と下着、装飾品や嗜好品、髪型、会話などに現れています。マイ夫人(ワン・チアチー)にとっては、美しく化けることは戦闘態勢に入ることを意味するのでしょう。
ワタシは鏡や窓ガラスに映る彼女の姿にもまた、監督のメッセージを感じとることができました。
そのほか麻雀シーンもよく出ますが、これは本心を隠した駆け引き、あるいは虚と実を表現しているのかもしれません。マイ夫人とイー氏が交わしたのは会話だけではなく視線であることも、あとからスチール写真を見て気づきました。何度も見ればこの映画の深さが見えてくるのかもしれません。
現実と虚構の間で移ろいゆく心は現代にも相通じるものがあり、それが多くの人を揺さぶるのでしょう。
そういった意味で、よくできた大人の映画だと思いますが、ワタシの文章力ではどうも中途半端になってしまいますね。
さて中国は周知のように清(満州族)からかなり複雑ながらも中華民国(漢族)へ、そして戦後は蒋介石の国民党から毛沢東の共産党に政権が移り変わりました。日本の傀儡政権であった汪兆銘の上海政府の要人はどうなったのでしょうか?もう一人の主人公の易(イー)氏も拠り所を失って失脚しているか、どこかへ逃亡しているはずです。いや書斎にあった孫文の肖像は、彼も隠れ抗日派であることを示しているのでしょうか?
今では中国の大女優チャン・ツィイーに迫る勢いのタン・ウェイですが、素顔は現代的な女性ですね。
最後に歯科医の立場でチェックさせていただくと、彼女は上の前歯が比較的小さめで、また上唇も短くて鼻の下の溝(人中)が目立ちますね。つまり30才近いのに、キレイ系より幼なカワイイ系に見えると思います。ですからセクシーな女を演じるには、情熱的なルージュなどの小道具や大人びた振る舞いが必携かもしれません。日本の芸能人で上の前歯が小さい人といえば安達●実や若●麻由美が思い浮かびます。でも日本の芸能人はすぐサシ歯にしちゃうから、ちょっとアレですが・・・。
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