カテゴリー「日々の臨床」の27件の記事

悪魔の歯ぎしり

11/14のNHK「ためしてガッテン」で悪魔の歯ぎしりというテーマが放映されました。

詳しくはこちらをご覧ください。

http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20121114.html

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前歯がゆるむ(フレアアウト)

加齢と共に前歯が出てきたり隙間が開いたりすることがあります。これを専門用語でフレアアウト(flare out)と言いますが、その原因は歯周病だけではありません。そのあたりをきちんと診断しないと、症状は良くならないばかりか、だんだん悪化する可能性があります。

その原因のひとつが「低過ぎるかぶせもの」や「奥歯の喪失」ですね。奥歯は顔の長さを決めるという大切な役割がありますから、これらを失ったりすると噛み合わせが低くなります。場合によっては前歯に過度の力がかかって、歯が出てきたり隙間が開いてきたりします。

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上の写真では奥歯がないことがおわかりいただけると思います(緑↓)。つまり噛み合わせが低くなった分だけ前歯が開いてきているのですね。ですから前歯をキレイにするのと同時に、奥歯の部分の噛み合わせも、元の高さに戻すことが肝要です。ですからどうしてもお口全体の治療が必要です。

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次の写真の方も前歯がゆるみで来院された方です。前医では歯と歯の間を接着剤で固定されたようですが、肝心の原因を見抜けなかったようです。

奥歯は喪失していないし、低過ぎるかぶせものもないのですが、よく診査してみると、下の親知らずが伸びていて、噛み合わせにトラブルを起こしていたのでした。

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顎を前方に動かしたとき、親知らずが変な当たり方をするので、前歯を突き上げていたのですね。上写真では親知らずと前歯以外の歯は当たっていないことがわかります。

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その結果何年もかかって歯並びが変化していったようです。模型を見ても左右対称でないことがわかりますね。また犬歯のすり減りもかなりひどいようです。

この患者さんの場合、若いうち(40才くらいまでに)に親知らずを抜いておくことがポイントだったと思います。歯石取りとか歯の固定とかは後手後手の対症療法にすぎません。キレイな前歯にするのは、原因をしっかり取り除いてからですね。

お口全体を診査したり、模型を取ったり、写真で記録したり、噛み合わせのチェックをしたりするというのは、一生スパンで歯の長持ちを考えるデータを増やすことでもあります。

ですから歯科医院選びというのは本当に大切なんだと思います。 そういう意味でも臨床はこわい側面があることを痛感します。 ワタシも日々精進が必要ですね。

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歯ぐきが腫れる

歯ぐきが赤く腫れたり膿んだりすることがあります。これは炎症の徴候ですから、何らかの原因が考えられますが、今回はその辺を詳しくお話しましょう。

1.歯周病の場合

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歯周病の主な原因は歯の周りの歯垢歯石です。ここには炎症を起こすバイ菌がたくさんいるので、歯肉が赤く丸く腫れてきます。場合によってはが出たり、歯槽骨が溶けて歯ぐきがヤセてきます。

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一般的には歯の周りをキレイにしてバイ菌を少なくすれば、自然治癒力が働いて、歯肉はピンク色に戻り、腫れも引いてきます。上の写真は当院での治療経過ですが、まず正しいお手入れ方法を学んでいただくと、歯ぐきが引き締まり、隠れていた歯石も見えてきました。そして左側の歯だけ歯石を除去すると、さらに歯肉が引き締まってくるのがおわかりいただけますね。このように患者さんと術者が手を組めば、歯周病は改善していきますが、実際は咬合力が強いとか、かぶせものの形が悪いとか、喫煙習慣があるとか、他にも様々な要因があるので、しっかりとした診断力が必要です。

2.歯根が折れている場合

歯周病は歯と歯ぐきの境目が炎症の場ですが、そこから少し離れたところが腫れる場合があります。その原因のひとつが、根っこの破折です。折れた位置によっては抜歯の対象となりますのでやっかいですね。

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3.歯の根管内に汚れが残っている場合

さらに歯の根っこの先あたりにニキビのようなものができたり、膿が出たりすることがありますが、その原因のひとつが根管内の汚れやバイ菌による炎症です。これを根尖性歯周炎と言います。レントゲンを撮ると、根の先まできっちり治療されていないことが多いです。

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しかし根管内を尖端までキレイにお掃除をして汚れやバイ菌を除去し、防腐剤(ガッタパーチャ)をしっかり詰めておけば、自然治癒力でニキビのようなものが消えたり、溶けた骨が再生してきたりします。これは患者さんも実感できますよね。

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我々歯科医師の目的は病気を治すことですから、上記のようなニキビが消えていくことに喜びを感じます。ただ根管治療は結構難しく、奥歯や複根歯の場合はさらに難易度が高くなるので、歯科医院間に治療技術の差が出てきやすいとも言えます。何度も通っているのに、ニキビのようなものが消えなかったら、それはどこかに問題があるのではないでしょうか?

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次の写真は当院に転院された方の一番奥の歯ですが、根管治療が不十分でした。なぜならしっかりと治療できるように歯を削っていなかったからですね。きちんと削れば、根管が3本ともしっかりと見えてきます。口腔内カメラがあると、さらに確実性が高まることは言うまでもありませんね。

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これらの治療はなかなか難しく、ときどき壁にぶつかることもあるのですが、これからもしっかり診断して、丁寧な仕事を続けていきたいと考えています。

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分割抜歯

食物をすりつぶしたり、頭蓋骨を支えたりするために、臼歯は複数の根で安定化をはかっています。下顎大臼歯は2本、上顎大臼歯は3本の根っこを持つのが一般的です。しかし後方にいけば、複数の根が癒合して一つの根(単根)になる傾向があります。

さて本日のテーマは分割抜歯です。治らない歯や残せない歯(ホープレスと言います)はどうしても抜かざるを得ないのですが、複数の根を持つ臼歯の場合は、悪い方の根っこだけを切り離して抜くこともあります。これによって入れ歯やインプラントを避け、ブリッジを選択することも可能となるのですね。また臼歯を分割しないで1本丸ごと抜くよりも、ブリッジが短くできたり、ムシ歯でない歯を削らなくてすむのというメリットもあります。

今回はそのような症例を3つ紹介します。

<症例1>

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これは左下第一大臼歯の前方の根っこ(近心根)が折れて、歯肉が腫れていたケースです。レントゲンでも折れた根っこの周りの骨が溶けているのがわかりますね。かぶせものと土台を外してよく見ると、ヒビが入っているのが何となくおわかりいただけると思います。こういう時に口腔内カメラがあると、歯科医師はより正確な診断ができ、また患者さんも納得しやすくなりますね。根っこが折れた歯は一般的に抜歯の対象となりますが、後方の根っこ(遠心根)はしっかりしていたので、近心根だけ抜歯しました。

<症例2>

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これも左下第一大臼歯が腫れたケースですが、第二大臼歯はすでに喪失しているため、このまま抜歯すれば入れ歯かインプラントにせざるをえません。根の周りの骨も溶けて条件は悪いですが、かろうじて後方の骨が残っていたため、延命策をとりました。分割した近心根の内側は根の先まで歯石がついていました。この歯石が腫れの原因だったのですね。このように凹みについた歯石は除去するのは大変困難です。抜いた穴が塞がってから、前の歯(第二小臼歯)も利用してブリッジにしました。ブリッジは入れ歯と違って固定式ですので、取り外す必要はありません。インプラントの選択は次の手にしても遅くはありません。

<症例3>

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右下第一大臼歯のかぶせものが土台ごと取れたケースです。根っこが折れたわけではなく、また歯周病が進んでいたわけでもないのですが、根っこの入口のところに穴があいていました。このまま土台を入れてもまた取れるばかりか、しみ込んだ血液や体液などでさらに根っこが腐っていく可能性が高くなります。今回は穴のあいた近心根の方を抜歯しました。

一般的に単純な形をしている遠心根の方が(まれに2つに分かれている時もありますが)土台を立てやすいですね。近心根は扁平であったり、凹みがあったり、2根管性であったりと複雑な形態なので、強い力がかかると折れやすいです。

それと根っこが長い(ルートトランクが長い)方が分割抜歯がしやすいです。根っこが短い(歯冠部が長い、分岐部が歯肉の深いところにある)と分割抜歯がしにくく、また無理に分割しても支える部分が短いので、どうしても揺さぶられてしまって予後は悪くなります。いずれにせよ単純に歯を2つにするのではなく、歯肉や歯槽骨を整形して、ブリッジなどが作りやすい形にする必要があるので、ある程度の歯周外科的な技術が必要ですね。

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長持ちする歯科治療

ワタシはできるだけ「長持ちする治療」を心がけていますが、それって患者さんにも理解できるものなのでしょうか?  かかりつけの先生に聞いていただいてもいいのですが、決して自費だから長持ちするのではないんですよ。上手なドクターの保険治療が、あまり上手でないドクターの自費治療より長持ちすることは珍しくないですし、上手なドクターなら尚更、保険の材料よりも自費の材料あるいは方法を使った方がもっと長持ちします。 これは大工さんと建築物の関係などにもいえることですね。 たいていの歯科関係者は自分自身の治療を、信頼できるところで自費の材料を用いて治療しています。

いずれにせよ歯科医院間の優劣の差は、すべて理論的に理由付けすることができます。

まず治療技術についてですが、施術するドクターと受身の患者さんとの間には、多少の温度差があると思います。場合によっては、腕はイマイチだけど話し上手なドクターの方が、話し下手だけど技術は確かなドクターよりも高評価を受けていることもあります。 

今回はそのあたりについて当院での一例でお話していきましょう。

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前歯の1本(黄矢印)がグラグラ、すき間も開いてきて(青矢印)、右のかぶせものの歯にニキビのようなも(緑矢印)のができているということで来院されました。どんどん歯が悪くなって相次いで抜歯され、将来は総入れ歯になるのではないかと不安になって転院されてきたわけです。

当院では「木を見て森を見ず」ではなく、木も森も診ましょうという方針でやっています。つまり1本1本の歯の治療と、お口全体の治療をバランス良く行っています。

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数ヶ月経過のものです。前歯のグラグラも改善し、また隣の歯とのすき間も詰まり、歯肉はキレイなピンク色に戻りました。 歯石を取れば歯周病は改善するのでしょうか? いえいえ、これは歯科関係者でもなかなか気づきにくいことですが、お口全体の噛み合わせが悪く、1本の前歯に過度の負担がかかっていたのです。他の歯よりも多くの歯石がついているのは動揺などのためです。ですから単に歯石を取っても、噛み合わせを改善しなければこの歯は救えなかったでしょう。

それと左の歯のニキビのようなものは、銀歯の中の根管治療が不十分で、歯の中に汚れやバイ菌が残っていたからですね。これらを根っこの先までキチンと取らないと、炎症は治りません。治療回数ではなく、根っこの先まで確実に治療する技術が大切です。この優劣はレントゲン写真でわかります。下の写真は初診時のものですが、炎症により根っこの先の骨が溶けて、そこに膿がたまって黒い陰影となっています(黄矢印)。これを根尖性歯周炎といいます。

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炎症の原因は歯の根っこの中の汚れやバイ菌ですから、これを除去すれば炎症はおさまって治癒に向かうわけですが、この根管治療がなかなか難しいんですね。しかしきちんと治療すれば(レントゲンでは治療の痕跡が白く写る)、新しく骨が再生され、その歯の寿命を延ばすことができます。また土台も腐蝕しやすい金属ではなく、グラスファイバーのものに代えています。 白い棒のようなものは仮の入れ歯の金属のバネです。後述しますが、入れ歯にするなら、延命処置をした歯を揺さぶらないような設計が大切となります。

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そうそう歯肉の高さが不揃いだと磨きにくい部分が増えますので、ここはできるだけ高さを揃える方がいいですね。ついでに予後の悪そうな根っこを1本だけ分割して取り除きました(分割抜歯)。このように歯肉を整形することも歯周外科処置と呼んでいます。

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次にお口全体の噛み合わせですが、この診断&治療はたいへん難しいので、ここでも歯科医院によって差が出てきます。当院ではお口の模型やレントゲンだけでなく、顎の動き、顔の左右対称性、顎関節の触診、姿勢の歪みなどもさりげなくチェックしています。さりげなくというのは、待合室から診察台に向かわれるときの歩き方や姿勢、治療椅子に座られたときの肩の位置などをチェックしているんです。 まぁこの辺の話はまたの機会に譲るとして、噛み合わせはレントゲンでチェックできるところもあります。

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これはお口全体のレントゲンですが、奥歯へいくにしたがって歯が伸びて(下がって)いますね。下の歯がないにもかかわらず入れ歯を入れておられないのが第一の理由ですが、このままだと頭部を支える首の骨(頚椎)にも大きな負担がかかって、身体全体にも良くない状態です。入れ歯を入れるとシャキンとなる高齢者もおられるように、奥歯には頭部を支えるという大きな役割があることを忘れてはいけません。

次に顎関節を診てみましょう。Rは右顎関節、Lは左顎関節ですが、この方は左右対称ではないことがおわかりいただけると思います。顎がズレることによって、顎関節の正常なスペースが失われているということですね。顎関節の組織は柔軟性がありますが、ここが傷つくと難治性となりますので、早めに正常な位置に戻してあげることが肝要です。

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このように1本1本の歯の治療と、お口全体のバランスを考慮した治療がうまくかみ合えば、その人の歯は長持ちすることになります。現在28本ある歯のうち8本を喪失されていますが、今回の治療で残りの歯が長持ちして抜歯に至らないようにすれば、転院先として選んでいただけた歯科医師としては本当に嬉しいかぎりですね。

さて次の処置ですが、この方の場合は歯のないところは入れ歯かインプラントになります。しかしながら保険治療の入れ歯では金属のバネの特性上、残った歯に負担がかかるのはどうしても避けられません。 その辺が次の課題になると考えています。

最後に噛み合わせと歯周病の関係の症例は「歯肉クレフト」の記事でも載せています。強い力がかかりすぎると、歯肉は割れたように痩せていくこともあるんですよ。下の症例はそれを考慮して咬み合う面を修正した結果、歯肉は回復していった一例です。このように「かぶせもの」ひとつでも細心の注意が必要ですね。

でもまだまだ勉強していかなければ・・・と思います。

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矮小歯と正中離開

前歯に隙間があると、見た目が気になりますね。

ヒトの前歯は4本有り、中央の2本を中切歯、その横の犬歯の手前の歯を側切歯といいます。そして、左右の中切歯の間にスペースがあることを正中離開といいます。

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正中離開の原因は下記のようにいくつかあります。

 1) 埋伏した過剰歯(正中歯)がある

 2) 側切歯が欠如(部分無歯症)、または大きさが小さい(矮小歯

 3) 上唇小帯(唇の裏側のスジ)が回り込んでいる

 4) 顎と歯の大きさが不調和である

上写真の方は左側の側切歯が、正常な右側と比べて、サイズが小さく尖っていますね。そのために中切歯の間が閉じずに、スペースが見られます。

そのスペースからは口の中の暗い部分が見えますから、どうしても不自然な印象を与えます。

見た目を良くするには、上記の原因を考慮した上で、セラミックの歯を貼りつけたりかぶせたりするか、歯科矯正治療を行ったりします。

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あるいはもっと簡単に、樹脂(レジン)を盛り足すことにより解決することもあります。ただし樹脂は時間が経つとすり減ったり変色したりするのが難点ですが。

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骨隆起・下顎隆起

Photo_2 下顎の犬歯小臼歯の内側(舌がある方)に、凸凸と骨が膨らんでいる方がおられます。これは「骨隆起」あるいは「下顎隆起」とよばれるものですが、一般的に腫瘍と言われる病気ではないので放置しておいても特に問題はありません。

ただ入れ歯になった場合、この隆起が邪魔になって入れ歯が作りにくくなります。また出っぱった骨の上は薄い粘膜が覆っているだけですから、どうしても入れ歯と粘膜表面がこすれて傷つきやすくなります。ですから骨隆起のある方は入れ歯にならないように歯を大切にしてくださいね。この骨隆起は外科処置で取ることもできるのですが・・・。

J このような骨の出っぱりができやすいのは中年以降の方で、噛み合わせの時に強い力がかかって骨が歪んで新しい骨が添加されるという説と、遺伝的要因が絡むという説があります。ですから遺伝的に骨隆起ができやすい人は、必要以上に強く噛まないようにしないといけません。

ところが「骨隆起」は若い人にも見かけることがあり、そのような人には歯のすり減り、歯ぎしりの癖、頬の筋肉の硬直などが認められることが多いです。

Koumou1j_2 起きているときは重力の関係で下顎の歯は上顎の歯と離れます。食事の時に上下の歯が当たる時間は1日のうち30分もないでしょう。ところが必要以上に上下の歯が接触している方がおられます。このような方で歯を支える歯周組織が強い方は歯がすり減っています。このようなすり減りを「咬耗」といいます。逆に歯周組織が弱い方は、歯にかかる強い力に対応できなくて歯がゆるんだり、歯周病が進行したりします。いずれにせよ、歯に必要以上の力がかかるのはよくないですから、上下の歯がきつく当たっていると気づけば、顔の筋肉をリラックスさせて、上下の歯を離すことが大切ですね。

必要以上の噛みしめは「咬耗」だけでなく、「顎関節症」「噛み合わせのズレ」「偏頭痛」「顔面のゆがみ」「頚椎のゆがみ」などをもたらし、全身の不調につながることも珍しくはありません。

Koumou2j_2 「咬耗」のアップ写真です。強い力によってエナメルがすり減り、象牙質が露出しています。また歯にもひずみがかかって歯頚部のエナメル質が飛んで「楔状欠損」になっている方も多いです。

歯が短くなると顔の長さも短くなって老人性顔貌を呈します。あるいは下顎が後ろに押しこめられ、顎関節や側頭骨が圧迫されて、いろいろな身体の不調も出てくることがあります。

このような患者さんは対症療法だけでなく、必要以上に強く噛む癖を少しずつ弱めていくトレーニングも必要ですね。

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歯肉クレフト

Cleft5j 歯肉クレフトとは、歯の生え際のU字になっている歯肉が、歯槽膿漏、強すぎるブラッシング、不適合の冠、歯の位置異常によりY字やV字になってしまっている状態のことを言います。

歯肉クレフトになった原因をしっかり把握できていないと、治癒させることは難しくなります。露出した根面を外科処置によって 覆う方法もありますが、その場合は他の部位から硬い歯肉を採ってきて、病変部に貼り付けるという方法が一般的ですが、もっと簡単に治癒させる方法はないのでしょうか。

Cleft1j この患者さんは右上第1小臼歯に歯肉クレフトが存在しました。でも他の歯には存在しなかったので、その原因は局所的なものと考えられます。

真正面から見ると上下の顎がズレていて、左下の犬歯も傾斜していることがわかります。また歯肉がヤセている(歯肉退縮)歯が何本かあります。

はたして強すぎるブラッシングだけが原因なのでしょうか? 歯ブラシを軟らかめのものに替えれば治癒していくものなのでしょうか?

Cleft2j Cleft4j 上に載せた写真は当院での初診時と1ヶ月後のものです。とくに歯ブラシを替えてもらったわけでもなく、もちろん外科処置をしたわけでもありません。

歯科関係者でも結構見落としやすいのですが、歯周病の原因は、バイ菌や磨き残し(歯垢、歯石)だけでなく、他にも多くの要因があります。

その患者さんに生じた原因をしっかり探り当てないと、治癒に導くことは難しいように思います。原因が理解できていないと、定期検診(リコール、PMTC)も効果は期待できないでしょう。

Cleft3j この方の場合、右上の歯に強い力がかかりやすいタイプで、しかも歯肉がやや薄いですから、クレフトができやすかったのだと思います。また「かぶせもの(クラウン)」の形態が悪いと、歯肉をヤセさせていくような力もかかってきます。

私はまず金属冠の咬合面の形を修正しました。数週間後に診てみると、Y字状のクレフトは消失し、U字形態が復活していました。

また金属冠の適合も悪かったため、仮歯に替えました。上の白い歯が仮歯の状態で、さらに経過観察していく予定です。

一見キレイに見える歯並びでも、顎がズレているといろいろな症状が出てくるという、ひとつの例でした。

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歯の根管治療 -側枝充填-

Xray_1_1_2  8月の記事にひきつづき、歯の根管治療の話です。

自費治療のセラミックの方が、保険治療より長持ちすると言っている医院もありますが、正確には歯の基本的な治療がキチンとできていて、その上で精密な技工物が入って初めて長持ちするのです。

具体的に言えば、歯の根管治療ができていなかったり、歯ぐきの状態が悪かったり、噛み合わせのバランスが取れていなかったりすれば、いくら上手な技工士の素晴らしい人工の歯でも、それは意味がありません。

例えば上のレントゲン写真からは、根管治療に難があり、また歯周組織を配慮していない治療であることが読みとれます。このように治療後のレントゲン写真からは医院のレベルがわかるんですね。

U6ono  根管(歯髄が入っている空間)はイラストなどではシンプルに描かれていることが多いですが、実際は複雑に枝分かれ(側枝といいます)したり曲がったりしているので、根管内の組織を完全に取り除くことは難しいです。

上は故小野寅次郎先生の著書の写真ですが、小野先生は私が在籍した講座の前々教授であり、研究室には多くの墨汁注入標本が残されていました。

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この側枝というのは取りきれなくても問題ないことが多いですが、ときどき側枝内のバイ菌や壊死組織が原因で、歯根の周囲に炎症が起こることがあります。

このような時、側枝内を清掃して、ガッタパーチャと呼ばれる防腐材で充填できれば炎症部分は治癒していきます。上は当院での充填直後の写真で、下の写真は半年経過後のものですが、炎症部分(陰影のあるところ)に新しい骨ができつつあることがわかりますね。

このような治癒経過を辿ってくれたときは歯医者冥利につきます。ただその側枝充填テクニックは少々難しくて、大学ではあまり教えません。ですからほとんどの一般開業医はそのテクニックを身につけておらず、卒後も研鑽に励んだ一部のドクターしかできないと思います。

Sokusij_2 先日も側枝にキレイに根管充填材を入れることができました。当院の採用している方法を一般的に垂直加圧充填法といいます。

一般開業医で多く行われているのは、ガッタパーチャポイントといわれる太めのシャーペンの芯のような材料をシーラーとよばれるセメントで詰めていく方法です。でもそれでは細い枝まで入っていきません。

長持ちする治療については、当院のHPに「歯」と「お口全体」とに分けて記載してあります。

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入れ歯の高さ

Minowaj_2 Noripij 口元の美しさと歯ならびとは大いに関係があります。初対面の印象は口元で決まると言っても過言ではないでしょう。

ちなみに上の2枚の写真では、どちらの方が好感度が高くて清純なイメージがあるでしょうか?

実は1枚目は結核で入院したお笑いタレントで、2枚目は覚醒剤で逮捕された元アイドルなんですよ。元アイドルの方は人工の歯をかぶせていますが、口元によってサワヤカさが強調されているのではないでしょうか?

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次の2枚の写真は総入れ歯の患者さんの写真です。

これらをご覧になって、どちらの方が不自然というか老けて見えますか? 

自然で若々しく見える方が新製した総入れ歯をはめた状態です。総入れ歯がしっくりこないとおっしゃっておられたので、初診時に口元の写真を撮らせていただいて、分析してみました。お若いときの写真があれば、より診断に役立ちますので、それを歯医者さんに持って行かれると、とても参考になります。

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総入れ歯は支える歯がありませんので、口腔の軟組織すなわち歯ぐきや舌や頬粘膜や唇で支えることになります。

このとき高さが適正でないと不自然な口元になり、また低すぎる入れ歯は筋肉の過収縮をもたらし、ひいては姿勢のゆがみ(猫背など)にもつながります。

このような観察力は歯医者さんの腕前の違いにもつながっているかもしれません。総入れ歯が上手な歯医者さんは、顔のシワや唇の形、場合によっては姿勢などの観察力が冴えていると思います。

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